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佐橋さんの工房のスタートは決して順調というわけではなかったようです。初めのうちは注文はなくて、メーカー |
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が作る量産家具の下請けの仕事が中心でした。 |
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そこで、6年(※)ほど前から、現在、花木センターのある場所で作品の展示会を始めたところ、周辺に住む人
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たちからの注文が舞い込み始めたと言います。今は、'97年にできた花木センターで引き続きギャラリーを借りて |
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作品を常設するほか、自宅でも作品を展示しています。また、最近は岐阜県や愛知県などで個展・グループ展 |
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を頻繁に開いたり、神戸のギャラリーに作品を置いてもらうなどして注文を受け付けています。地元で地道に |
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制作活動を続けていたのが、広く受け入れられ始めたということのようです。
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「作品づくりでは、いつも自然の感じを出すということを心がけています。木の自然の曲線に魅力を感じるん
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です。これは自分の体質と言えるくらい一貫していて、直線的なものはほとんど作りません。」
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と佐橋さん。木工の道へ進むきっかけとなった自然志向は、ますます高まっているようです。ちなみによく使う材は
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クリ、トチ、センなど。ナラも使いますが、自分とはあまり相性が良くない、とのこと。 |
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木材は主に岐阜県の各務ヶ原市の市場で仕入れるほか、一部白川郷の奥で採れるものも利用しています。 |
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また、塗装は拭き漆仕上げや着色オイル仕上げなど濃い色のものが中心で、和室に似合う作品が多いようです。
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佐橋さんが現在制作しているラインナップの中でも、代表作と言えるのが「飾り椅子」です。ウレタン仕上げを
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施した高さ170cmほどの高い椅子ですが、背板にワンポイントの飾りを付けている点が人気を博しています。 |
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基本パターンは、昔作っていた竹細工の腕を生かした竹籠をくくり付けたものですが、そのほかにもさまざまな |
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バリエーションのものを作っています。特に、最近多いのは陶器をはめ込んだものです。 |
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「5年(※)ぐらい前から陶芸家の方と交流するようになって、一部共同制作をするようになったんです。一緒に
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考えながら作品を作ったり、既にできている自分の家具に新たに手を加えてもらったりして、いろいろなものを作って |
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います。自分で陶芸をやろうとまでは思いませんが、違う分野の作家さんと一緒に仕事をするのは面白いですね。 |
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意見がぶつかって難しい部分もありますが、とても刺激になります。最近は織物を作っている人とも知り合って、
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布を取り入れた飾り椅子も試作中です。」 |
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陶器のほかにもガラスやタイルなど、木以外の素材が融合した作品は、一味違った輝きを発揮しています。 |
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もちろん、人間が作ったものとはいえ、決して人工的な感じがせず、何か古くて新しい魅力が漂っているような |
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気がします。 |
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これからやってみたいことについては、佐橋さんは次のように語ります。
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「流木だけを使った作品で個展をやってみたいんです。木曽川にも流木は多いんですが、自然が作った曲線
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というのは、手にもって眺めてみると人間が人工的に作ったものとは全然違うんですよ。そういうものを生かして、 |
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棚やチェストなども作ってみようと思案しています。流木は切ってみるとイメージが変わってしまうので、できるだけ
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元の形のまま、家具の部材として使いたいんです。技術的には難しいものがありますけど。」 |
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佐橋さんの素朴な表情と穏やかな口調からは、自然への労わりの気持ちが伝わってきます。 |
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その木工制作は、一層自然回帰的な方向へ進んでいきそうです。 |
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(※ 1999年に掲載された記事です。)
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